「マイホームを買うと税金が戻るらしい」そう聞いたことはあっても、いざ調べると控除率だの借入限度額だの省エネ基準だのと専門用語ばかりで、結局いくら得するのか分からないまま、という人は多いはずです。しかも2026年(令和8年)に入居する人からは制度が改正され、借入限度額や床面積の条件が変わりました。
この記事では、2026年版の住宅ローン控除(住宅ローン減税)について、いくら戻るのか・誰が対象なのか・どう申請するのかを、具体的な金額と早見表で一気に整理します。新築でも中古でも、読み終わるころには「自分の場合はこうすればいい」が分かるようにまとめました。
住宅ローン控除とは?まず仕組みを30秒で
住宅ローン控除(正式名称:住宅借入金等特別控除)は、住宅ローンを組んでマイホームを買ったり建てたりした人が、年末のローン残高の0.7%にあたる金額を、その年の所得税から差し引ける制度です。
たとえば年末のローン残高が3,000万円なら、3,000万円×0.7%=21万円。この21万円が、給与から源泉徴収された所得税から戻ってくる(または安くなる)イメージです。控除しきれない分は翌年の住民税からも引かれます。
ポイントは「税額控除」であること。医療費控除やふるさと納税のような「所得控除」は所得を減らすだけですが、住宅ローン控除は計算後の税額そのものを直接減らすので、節税のインパクトが桁違いに大きいのが特徴です。控除期間は新築なら最長13年、中古なら10年続きます。
【2026年改正】変わった5つのポイント
2026年(令和8年)に入居する人から、制度の中身がいくつか見直されました。主な変更点は次のとおりです。
| 項目 | 2025年まで | 2026年(改正後) |
|---|---|---|
| 適用期限 | 2025年末入居まで | 2030年末入居まで5年延長 |
| 省エネ住宅の借入限度額 | 世帯により最大4,500万円 | 原則1,000万円減額(性能・世帯で変動) |
| 子育て・若者夫婦の上乗せ | あり | 継続(限度額を上乗せ) |
| 中古の床面積特例 | 原則50㎡以上 | 所得1,000万円以下なら40㎡以上に緩和 |
| 省エネ基準適合住宅 | 対象 | 2028年入居分から原則対象外へ |
「延長された」というプラス面と、「省エネ住宅の限度額が下がった」というマイナス面が同居しているのが2026年改正の特徴です。これから家を買う人は、住宅の省エネ性能で得られる控除額が大きく変わる点を頭に入れておきましょう。
借入限度額の早見表(新築・買取再販)
戻ってくる金額の上限は、住宅の性能と世帯のタイプで決まります。2026〜2027年入居の新築・買取再販住宅の借入限度額は次のとおりです。
| 住宅の性能 | 子育て世帯・若者夫婦世帯 | その他の世帯 | 控除期間 |
|---|---|---|---|
| 認定長期優良住宅・低炭素住宅 | 5,000万円 | 4,500万円 | 13年 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 4,500万円 | 3,000万円 | 13年 |
| 省エネ基準適合住宅 | 3,000万円 | 2,000万円 | 13年 |
| 上記以外(非省エネ) | 原則対象外(※2023年末までに建築確認なら2,000万円・10年) | 10年 | |
子育て世帯=19歳未満の子がいる世帯、若者夫婦世帯=夫婦のどちらかが40歳未満の世帯を指します。たとえばZEH水準の家を建てた30代夫婦なら限度額は4,500万円ですが、同じ家を50代夫婦が建てると3,000万円。世帯のタイプだけで上限が1,500万円も変わるので、自分がどの区分に入るかを必ず確認してください。
対象になる人の3つの条件
住宅ローン控除を受けるには、主に次の条件をすべて満たす必要があります。
- 合計所得金額が2,000万円以下であること(超えた年は控除を受けられません)
- 床面積が原則50㎡以上(合計所得1,000万円以下なら新築は40㎡以上に緩和。2026年からは中古も40㎡以上でOK)
- 引き渡しまたは工事完了から6か月以内に入居し、控除を受ける年の12月31日まで住み続けていること
そのほか、返済期間が10年以上の住宅ローンであること、借入先が銀行など一定の機関であること(親族からの借入は対象外)も条件です。床面積は登記簿上の面積(内法)で判定される点に注意。パンフレットの広告面積(壁芯)より小さくなることがあり、ギリギリ50㎡の物件は要確認です。
いくら戻る?借入額別シミュレーション
実際にどのくらい戻るのか、年末ローン残高ごとの控除額(年あたり)の目安をまとめました。控除率は一律0.7%です。
| 年末ローン残高 | 控除額(年・最大) | 13年間の合計(目安) |
|---|---|---|
| 2,000万円 | 14.0万円 | 最大で約130〜180万円 |
| 3,000万円 | 21.0万円 | 最大で約200〜270万円 |
| 4,000万円 | 28.0万円 | 最大で約280〜360万円 |
| 5,000万円 | 35.0万円 | 最大で約350〜450万円 |
ただしこれは「上限いっぱい控除できた場合」の数字です。実際に戻る額は、あなたが納めた所得税+住民税の範囲内に限られます。残高5,000万円でも、年間の所得税・住民税の合計が20万円なら、戻るのも20万円まで。残高が大きい人ほど「払った税金が足りずに控除しきれない」ケースが出やすいので注意しましょう。
所得税で引ききれない分は住民税から
住宅ローン控除はまず所得税から差し引かれ、引ききれなかった分は翌年の住民税から控除されます。住民税からの控除には上限があり、「前年の課税総所得金額等×5%(最高97,500円)」までです。
たとえば控除額21万円のうち所得税で15万円しか引けなかった場合、残り6万円を住民税から差し引きます。6万円は上限の97,500円以内なのでフル控除でき、合計21万円が戻る計算です。住民税がどう決まるかは住民税決定通知書の見方で詳しく解説しています。
申請方法:1年目は確定申告、2年目以降は年末調整
住宅ローン控除でつまずきやすいのが申請です。会社員でも1年目は必ず自分で確定申告をしなければなりません。
| 1年目 | 2年目以降 | |
|---|---|---|
| 会社員・公務員 | 確定申告が必須 | 年末調整でOK |
| 個人事業主 | 確定申告 | 確定申告 |
| 主な提出物 | 計算明細書・登記事項証明書ほか一式 | 控除証明書+残高証明書 |
2年目以降、会社員は税務署から届く「住宅借入金等特別控除申告書」と、銀行から届く「残高証明書」を勤務先に提出すれば年末調整で完結します。確定申告のやり方そのものは確定申告のやり方ガイドを参考にしてください。e-Taxを使えばスマホからでも申告できます。
1年目に必要な書類リスト
初年度の確定申告で必要になる主な書類は次のとおりです。早めに集めておくとスムーズです。
- 確定申告書(第一表・第二表)
- (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
- 建物・土地の登記事項証明書
- 売買契約書または工事請負契約書の写し
- 住宅ローンの年末残高証明書(金融機関から届く)
- 源泉徴収票(会社員の場合)
- マイナンバーカードなど本人確認書類
- 長期優良住宅・ZEHなどは認定通知書や住宅性能評価書
中古住宅(既存住宅)を買った場合
中古住宅も対象ですが、新築とは条件が異なります。借入限度額は、認定住宅・ZEH水準・省エネ基準適合住宅なら3,000万円、それ以外は2,000万円。控除期間は一律10年です。
2026年の改正で、中古でも合計所得1,000万円以下なら床面積40㎡以上でOKになりました。築年数の要件は「1982年(昭和57年)以降に建築された住宅(新耐震基準適合)」が目安で、古い物件は耐震基準適合証明書などが必要になる場合があります。
夫婦で借りる「ペアローン」「連帯債務」の場合
共働き夫婦がよく選ぶのが、夫婦それぞれがローンを組む「ペアローン」や、ひとつのローンを2人で返す「連帯債務」です。これらは夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられるのが大きなメリットで、世帯全体の控除額を増やせます。
| 借り方 | 控除の受け方 | 向いている人 |
|---|---|---|
| ペアローン | 夫婦が別々に契約し、各自で控除を受ける | 2人とも安定収入があり所得税も多い |
| 連帯債務 | 負担割合に応じて2人で控除を分ける | 収入差はあるが2人で控除したい |
| 連帯保証(単独ローン) | 契約者1人だけが控除を受ける | 片働き・収入が一方に偏る |
ペアローンは2人分の控除枠を使えるため、たとえば夫婦それぞれが3,000万円ずつ借りれば、合わせて年間最大42万円の控除も狙えます。ただし持分割合と借入割合を一致させることが重要です。出資した割合と登記の持分がずれていると、差額が贈与とみなされて贈与税がかかることがあります。申告も2人それぞれが行う必要があるので、初年度の確定申告は夫婦そろって準備しましょう。
損しないために知っておきたい5つの注意点
| 注意点 | 内容 |
|---|---|
| 1年目の申告忘れ | 年末調整では申請できない。忘れると初年度の控除を取り逃す(5年内なら還付申告可) |
| 所得2,000万円超 | その年は控除停止。翌年2,000万円以下に戻れば再開できる |
| 繰り上げ返済しすぎ | 返済期間が当初から通算10年未満になると、以後は対象外に |
| ふるさと納税との併用 | 住民税の控除枠を食い合い、寄付分が控除しきれず損する場合がある |
| ペアローンの按分ミス | 夫婦の持分・負担割合に応じて各自で申告。配分を誤ると否認される |
特に見落としやすいのが、ふるさと納税との併用です。住宅ローン控除で住民税がすでに大きく減っていると、ふるさと納税の控除枠を使い切れずに自己負担が増えることがあります。限度額の考え方はふるさと納税の限度額ガイドで確認しておくと安心です。医療費がかさんだ年は医療費控除との併用も検討しましょう。
まとめ:自分の住宅性能と世帯区分を先に確認
2026年の住宅ローン控除は、2030年末入居まで5年延長された一方で、省エネ住宅の借入限度額が引き下げられました。戻る金額は「住宅の性能×世帯のタイプ」でほぼ決まるので、まずは自分がどの区分に当てはまるかを確認するのが第一歩です。
そして会社員でも1年目だけは確定申告が必須。ここさえ押さえれば、2年目以降は年末調整で自動的に控除が続きます。13年間で数百万円が戻る大きな制度なので、申告忘れだけは絶対に避けましょう。