この記事のポイント
- 繰り上げ返済は「住宅ローン控除の残り年数」と「金利」で判断が変わる
- 金利0.7%以下なら控除期間中は繰り上げ返済しないほうが得
- 期間短縮型と返済額軽減型、選び方を間違えると数十万円の差が出る
- 手元に生活費6ヶ月分を残すのが鉄則
ボーナスが出るたびに「繰り上げ返済したほうがいいのかな」と考えては、結局なにもしない。そんな状態が2年くらい続いていました。
重い腰を上げて銀行の窓口に相談しに行ったら、担当者に「お客様のケースだと、今は繰り上げ返済しないほうがお得ですよ」と言われて、正直びっくりしたんです。
住宅ローンの繰り上げ返済は「やれば必ず得する」と思い込んでいたけど、実際は条件次第で損するケースもある。ここを知らないまま100万円繰り上げ返済して後悔した知人もいます。
繰り上げ返済の前に確認すべき「金利と控除」の関係
住宅ローン控除(住宅ローン減税)は、年末のローン残高の0.7%が所得税・住民税から差し引かれる制度です。
ここで大事なのが、自分の住宅ローン金利と0.7%の大小関係。
・ローン金利が0.7%以下 → 控除期間中は繰り上げ返済しないほうが得
・ローン金利が0.7%〜1.0% → ケースバイケース(残高・残年数で計算)
・ローン金利が1.0%以上 → 控除期間中でも繰り上げ返済が有利
たとえば金利0.5%で3,000万円借りているとします。住宅ローン控除で年間21万円(3,000万円×0.7%)が戻ってくる。一方、年間の利息は15万円(3,000万円×0.5%)。差額の6万円分、控除のほうが多いわけです。
この状態で100万円繰り上げ返済すると、控除額が7,000円減る。利息は5,000円減る。差し引き2,000円の損。金額としては小さいですが、「繰り上げ返済すれば必ず得」ではないことがわかります。
私の場合、金利が0.45%だったので、窓口の担当者は「控除が終わる10年目以降にまとめて返すのがベストです」と教えてくれました。
期間短縮型と返済額軽減型、どっちを選ぶ?
繰り上げ返済には2つのタイプがあります。ここの選び方で、利息の削減額が数十万円変わることも。
| 比較項目 | 期間短縮型 | 返済額軽減型 |
|---|---|---|
| しくみ | 毎月の返済額はそのまま、返済期間が短くなる | 返済期間はそのまま、毎月の返済額が減る |
| 利息の削減効果 | 大きい | 小さい |
| 家計の余裕 | 変わらない | 毎月の負担が軽くなる |
| 向いている人 | 毎月の返済に余裕がある人 | 家計を楽にしたい人 |
同じ100万円を繰り上げ返済した場合のシミュレーション結果がこちら。
借入額3,000万円/金利1.2%/35年ローン/残り25年時点で100万円繰り上げ返済
・期間短縮型 → 利息削減額 約43万円、返済期間が約1年2ヶ月短縮
・返済額軽減型 → 利息削減額 約18万円、毎月の返済額が約3,300円減少
利息の削減額だけ見ると期間短縮型が圧倒的に有利。ただし、毎月の貯金がままならない状況なら、返済額軽減型で家計を安定させるほうが現実的です。
知人は「得したいから」と期間短縮型を選んだものの、翌年に子どもの私立中学受験が重なって家計がカツカツに。結局カードローンに手を出すことになって、住宅ローンの金利より高い利息を払うはめになりました。
繰り上げ返済の手数料、銀行によってこんなに違う
「繰り上げ返済したいけど手数料がもったいない」という声をよく聞きます。実は、手続きの方法で手数料がゼロになるケースが多い。
| 銀行 | ネット手続き | 窓口手続き |
|---|---|---|
| 三菱UFJ銀行 | 無料 | 16,500円 |
| 三井住友銀行 | 無料 | 5,500〜22,000円 |
| みずほ銀行 | 無料 | 33,000円 |
| SBI新生銀行 | 無料 | 無料 |
| 楽天銀行 | 無料 | ー |
| ソニー銀行 | 無料 | ー |
メガバンクでもネット経由なら一部繰り上げ返済の手数料は無料のところがほとんど。窓口だと数万円かかるので、この差は大きいです。
私はみずほ銀行を使っているんですが、最初は窓口に行こうとしていました。たまたまネットで調べて「ネットなら無料」と知って、33,000円浮かせたのは地味にうれしかった。
一部繰り上げ返済は無料でも、全額返済(完済)の場合は手数料がかかる銀行があります。完済を考えている人は事前に確認してください。
「こまめに返す」と「まとめて返す」、得なのは?
全国銀行協会の解説によると、同じ金額でもこまめに繰り上げ返済したほうが利息の軽減効果が高いという結果が出ています。
理由はシンプルで、早く元本が減れば、その分だけ利息の計算ベースが小さくなるから。100万円を1年後にまとめて返すより、毎月8万円ずつ返すほうが、トータルの利息は少なくなります。
ただし、繰り上げ返済のたびに手数料がかかる銀行だと、こまめに返すメリットが相殺されてしまう。ネットで無料の銀行なら、こまめ返済一択です。
繰り上げ返済で絶対にやってはいけないこと
生活費6ヶ月分は必ず手元に残してください。病気、失業、家の修繕など、予想外の出費はいつ来るかわかりません。
もうひとつ見落としがちなのが団体信用生命保険(団信)の話。
住宅ローンには団信がついていて、万が一のとき残債がゼロになります。繰り上げ返済で残高を減らすと、この保障額も減る。言い方を変えると「タダの生命保険を自分から減らしている」ことになります。
特に小さい子どもがいる家庭は、団信の保障額と繰り上げ返済のバランスを考えたほうがいい。
結局、繰り上げ返済すべき?判断チェックリスト
繰り上げ返済の判断チェックリスト
- 住宅ローン控除の残り年数を確認した
- 自分のローン金利が0.7%より高いか低いか把握している
- 繰り上げ返済後も生活費6ヶ月分の貯蓄が残る
- 今後3年以内に大きな出費(教育費、車、リフォームなど)の予定がない
- 繰り上げ返済の手数料を調べた(ネット手続きなら無料の場合が多い)
- 期間短縮型と返済額軽減型、自分の家計に合うほうを選んだ
全部チェックがついたなら、繰り上げ返済に踏み切ってOK。ひとつでも迷うところがあれば、銀行の窓口かFP(ファイナンシャルプランナー)に相談するのが確実です。
まずは自分のローン金利と控除の残り年数を確認するところから始めてみてください。ネットバンキングにログインすれば、5分で調べられます。