「火災保険の更新案内が来たら、保険料が前より高くなっていた」近年、この経験をする方が急増しています。火災保険は2019年から2024年までに4回の値上げが行われ、地域や建物によっては累計40%以上も上がりました。さらに業界では2026年10月の再値上げも見込まれています。
ただし、火災保険は「見直せば下げられる」固定費の代表格です。この記事では、2026年(令和8年)最新版として、値上げの推移と今後の見通し・不要な補償の外し方・免責金額の設定・5年長期契約・一括見積もり・割引制度という5つの保険料削減術と、水災等地の確認方法、見直しの手順までやさしく解説します。
この記事の要点まとめ
- 火災保険料は2024年10月に全国平均+13.0%と過去最大の引き上げ。地域・建物によっては累計40%以上の値上がりで、2026年10月の再改定(10〜15%程度)も業界で見込まれている(※公式確定前)
- 保険料を下げる王道は①不要な補償を外す ②免責金額を設定する ③5年長期一括払い ④複数社の一括見積もり ⑤割引制度の確認の5つ。合わせ技で年1万円以上下がるケースも珍しくありません
- 水災の保険料は2024年10月から市区町村ごとに5段階(水災等地)に区分。自宅の等地は損害保険料率算出機構のサイトで無料検索できます
- 長期契約は契約期間中の値上げの影響を受けないため、再値上げ前の5年一括契約は有力な防衛策。途中で解約しても未経過分の解約返戻金が戻ります
- 見直しのベストタイミングは満期の半年前〜3か月前。ただし満期前でも乗り換えは可能です
火災保険はなぜ上がり続ける?値上げの推移と累計
まず、ここ数年の値上げの流れを整理しましょう。火災保険料のベースになる「参考純率」は、損害保険料率算出機構が算出し、各保険会社がそれをもとに保険料を決めています。
| 各社保険料の改定時期 | 引き上げ幅の目安 | 主な背景 |
|---|---|---|
| 2019年10月 | 約5% | 大型台風・豪雨被害の増加 |
| 2021年1月 | 約5% | 自然災害の保険金支払い増 |
| 2022年10月 | 約10% | 災害激甚化+最長契約期間が10年→5年に短縮 |
| 2024年10月 | 全国平均+13.0%(過去最大) | 水災料率の市区町村別5区分(水災等地)導入 |
値上げの最大の要因は、台風・豪雨など自然災害の頻発・激甚化と、資材費・修理費の高騰です。立地や構造によっては、この5年あまりで累計40%以上保険料が上がった家庭もあります。前回改定時の対策は火災保険値上げ2024でどうすべき?で詳しく解説しています。
2026年10月に再値上げ?現時点で分かっていること
2026年6月時点で、業界メディアや保険代理店の間では「2026年10月に10〜15%程度の再改定」が見込まれると報じられています。
注意:2026年10月の改定は、損害保険料率算出機構からの公式発表が確定する前の「見通し」です(最新の参考純率届出は2023年6月で、これが2024年10月改定に反映済み)。確定情報ではない点を踏まえつつ、「上がる前提」で早めに見直すのが安全な備え方です。
仮に月5,000円の保険料が10〜15%上がると、年間6,000〜9,000円の負担増です。重要なのは、改定前に契約した保険料は契約期間中ずっと固定されること。つまり再値上げが現実になる場合、改定前に5年長期契約を結んでおけば、その間の値上げの影響を受けません。これが「2026年のうちに見直すべき」最大の理由です。
見直しの前に:保険証券で確認する3つのポイント
やみくもに見積もりを取る前に、いまの契約内容を保険証券(またはマイページ)で確認してください。チェックするのは次の3点です。
- ① 保険期間と満期日:満期の半年前から見直し適期。10年契約の満期が近い方は値上がり幅が大きいので特に要確認
- ② 補償内容:火災・風災・水災・盗難・破損汚損など、どの補償にいくら払っているか。「とりあえず全部入り」になっていないか
- ③ 保険金額(評価額):建物の保険金額が再調達価額(同じ建物を建て直す費用)に対して過大・過小になっていないか
方法① 不要な補償を外す|年6,000〜12,000円の削減も
保険料削減の効果が最も大きいのが、自宅のリスクに合わない補償を外すことです。
| 補償 | 外す候補になるケース | 外さないほうがよいケース |
|---|---|---|
| 水災 | マンション高層階、ハザードマップで浸水・土砂災害リスクがない立地 | 河川近く・低地・1〜2階、水災等地が4〜5等地の地域 |
| 破損・汚損 | 「うっかり壊した」を貯蓄でカバーできる世帯 | 小さい子どもがいて家財の事故が多い世帯 |
| 盗難 | オートロック・高層階などリスクが低い住まい | 戸建てや1階で防犯面に不安がある住まい |
| 個人賠償責任特約 | 自動車保険・共済などほかの保険に同じ特約が付いている場合(重複は無駄) | どの保険にも付いていない場合はむしろ必須級 |
フルカバー型から不要補償を外すと、年6,000〜12,000円下がる試算もあります。ただし水災を外すかどうかは慎重に。後述の水災等地とハザードマップを必ず確認してから判断してください。
方法② 免責金額(自己負担額)を設定する
免責金額とは、保険金支払いの際に自己負担する金額のことです。多くの会社で0円・1万円・3万円・5万円・10万円などから選べます。
「小さな損害は貯蓄で対応し、大きな損害だけ保険でカバーする」という保険の原則に立てば、免責金額を0円→5万円や10万円に引き上げるだけで保険料は下がります。条件によっては年1〜2万円下がった例もあります。台風で屋根が数百万円の被害を受けるような「家計が壊れる事態」への備えは維持したまま、保険料だけスリムにできる方法です。
方法③ 5年長期契約+一括払いに切り替える
火災保険の契約期間は現在最長5年です(2015年に36年→10年、2022年10月から5年に短縮)。1年契約を毎年更新するより、5年契約の一括払いにするほうが総額で割安になります。
5年長期一括払いのメリット
① 1年契約の更新を繰り返すより保険料総額が安い(割引率は会社・条件により異なります)
② 契約期間中は値上げの影響を受けない。2026年10月に再改定があっても、改定前に結んだ契約の保険料は満期まで固定
③ 毎年の更新手続きが不要になる
「5年分を一括で払う余裕がない」という場合も、年払いの長期契約という選択肢があります。なお、途中で引っ越しや乗り換えをしても、残り期間分の保険料は解約返戻金として戻るので、長期契約のデメリットはほとんどありません。詳しくは火災保険の解約返戻金はいくらもらえる?をご覧ください。
方法④ 複数社の一括見積もりで比較する
同じ建物・同じ補償内容でも、保険会社によって保険料は年1万円以上違うことがあります。特にネット型(ダイレクト型)の火災保険は、代理店型より割安な傾向です。
比較のコツは、「同じ条件」で複数社の見積もりを取ること。補償内容・保険金額・免責金額・期間をそろえないと、安く見えても補償が薄いだけ、ということが起こります。一括見積もりサイトを使えば、建物情報を1回入力するだけで複数社の見積もりが届きます。実際の乗り換え手順と体験談は火災保険値上げ2024乗り換えで年3万円削減で紹介しています。
方法⑤ 割引制度を確認する
意外と見落とされがちなのが各社の割引制度です。代表的なものを挙げます。
- 耐火構造の割引:コンクリート造(M構造・T構造)は木造(H構造)より保険料が大幅に安い。構造の登録が間違っていると払いすぎの原因に
- 築浅割引・新築割引:築10年以内などで適用される会社あり
- Web申込割引・証券ペーパーレス割引:ネット手続きで数%引き
- 支払方法の割引:口座振替・クレジットカード一括などで約1%
とくに建物の構造区分(M・T・H構造)の誤登録は保険料が数割変わる重大ポイントです。鉄筋コンクリートのマンションなのに戸建て向けの料率になっていないか、証券で確認してください。
水災等地のしくみと確認方法|自宅は何等地?
2024年10月から、水災の保険料は市区町村ごとに5段階の「水災等地」に区分されました。保険料が最も安い1等地から最も高い5等地まであり、5等地の水災保険料は1等地の約1.2倍です。
自宅の水災等地を調べる方法
損害保険料率算出機構の公式サイトにある「水災等地検索」で、郵便番号や住所から無料で確認できます。あわせて、お住まいの自治体のハザードマップ(浸水想定区域・土砂災害警戒区域)も確認しましょう。
「1〜2等地でハザードマップ上もリスクなし、かつマンション高層階」なら水災補償を外す検討余地があります。逆に4〜5等地なら、保険料が高くてもそれだけ水災リスクが高い地域ということ。外して数千円浮かせた結果、数百万円の浸水被害が自己負担になるのでは本末転倒です。
見直しのベストタイミングと手順5ステップ
見直しは満期の半年前〜3か月前に始めるのが理想です。満期更新時なら解約手続きが不要で、切り替えがスムーズだからです。ただし、再値上げ前の駆け込みなど、満期前の途中乗り換えも解約返戻金があるので損にはなりにくいです。
- 保険証券で現契約を確認(期間・補償・保険金額・免責・構造区分)
- 水災等地とハザードマップを確認し、必要な補償を決める
- 同一条件で複数社の一括見積もりを取る
- 免責金額・5年一括払い・割引を加味して総額比較する
- 新契約の開始日と旧契約の解約日をそろえて空白期間なく切り替える
なお、持ち家の方は火災保険とセットで住宅ローン控除などの税制も含めて住まいの固定費を総点検すると、削減効果がさらに大きくなります。
火災保険見直しのよくある間違いTOP5
| よくある間違い | 正しい対処 |
|---|---|
| ① 保険料の安さだけで選び、補償が足りない | 必要補償を決めてから同一条件で比較する |
| ② ハザードマップを見ずに水災を外す | 水災等地+ハザードマップ確認が先 |
| ③ 個人賠償責任特約の重複に気づかない | 自動車保険・共済の特約と突き合わせる |
| ④ 旧契約の解約を忘れて二重払い | 新契約開始日に合わせて解約手続き。未経過分は返戻金で戻る |
| ⑤ 地震保険まで外してしまう | 地震・噴火・津波は火災保険では補償されない。地震保険は別枠で検討 |
見直し前チェックリスト
- □ 保険証券で満期日・補償内容・免責金額・構造区分を確認した
- □ 水災等地検索とハザードマップで自宅のリスクを確認した
- □ 外せる補償・重複特約(個人賠償など)を洗い出した
- □ 免責金額の引き上げ(5万〜10万円)を検討した
- □ 同一条件で複数社の一括見積もりを取った
- □ 5年長期一括払いの総額と割引を比較した
- □ 新旧契約の切り替え日をそろえ、空白期間と二重払いを防いだ
火災保険は「入ったら放置」になりがちですが、値上げが続くいまこそ、数十分の見直しで年1万円以上の固定費削減につながる数少ない分野です。2026年10月の再値上げが確定する前のこのタイミングで、ぜひ一度ご自身の契約を点検してみてください。