夏のボーナスを受け取ったあと、「このタイミングで辞めようか」と転職を考える人は毎年6〜7月に増えます。私の知人も先月そうでした。いざ辞めると決めて最初に気になったのが、失業保険は結局いくら、いつから、何日もらえるのか。調べてみると、2025年4月の改正で自己都合退職でも受け取りやすくなっていて、思っていたより条件がよくなっていました。
この記事では、失業保険(雇用保険の基本手当)のもらえる条件・金額・期間を2026年の最新ルールで整理し、申請から振込までの流れ、そして「給付制限が2か月から1か月に短くなった」改正点まで、今日確認できる形でまとめました。
この記事の要点まとめ
- もらえる条件は離職前2年間に被保険者期間が通算12か月以上(会社都合・特定理由なら1年間に6か月以上)。さらに「働く意思と能力があり、求職活動をしている」ことが必要です
- 1日あたりの金額(基本手当日額)は退職前6か月の賃金 ÷ 180 × 50〜80%。上限は45〜59歳で日額8,870円、下限は2,411円(2025年8月改定)
- もらえる日数は自己都合で90〜150日、会社都合で90〜330日。年齢と加入年数で決まります
- 2025年4月から自己都合の給付制限が2か月→1か月に短縮。待期7日と合わせ、自己都合でも約1か月半で受給が始まります
失業保険はいくらもらえる? 金額の計算式
まず気になる金額から。失業保険の正式名称は「雇用保険の基本手当」で、1日あたりの支給額を基本手当日額といいます。計算式はシンプルです。
- 賃金日額=退職前6か月の給与合計(賞与は除く)÷ 180
- 基本手当日額=賃金日額 × 給付率(50〜80%。賃金が低い人ほど率は高い)
たとえば退職前6か月の月給が月30万円なら、賃金日額は約1万円。給付率はおよそ60%で、基本手当日額は約6,000円です。これを所定給付日数ぶん受け取ります。月収が高い人ほど給付率は下がり、上限額で頭打ちになります。
基本手当日額の上限・下限(2025年8月改定)
給付率をかけたあとでも、年齢ごとに上限が決まっています。2025年8月1日からの金額は次のとおりです(毎年8月に改定されます)。
| 離職時の年齢 | 基本手当日額の上限 |
|---|---|
| 29歳以下 | 7,255円 |
| 30〜44歳 | 8,055円 |
| 45〜59歳 | 8,870円 |
| 60〜64歳 | 7,623円 |
下限は年齢に関係なく2,411円です。45〜59歳で上限の8,870円を満額もらえる人なら、30日で約26万円、90日で約24万円ではなく約80万円規模になります。自分の正確な金額は、退職後にハローワークでもらう「雇用保険受給資格者証」に記載されます。
もらえる日数は何日? 自己都合と会社都合の差
失業保険でいちばん差がつくのが、もらえる日数(所定給付日数)です。同じ給料でも、辞め方しだいで受給総額が2倍以上変わることもあります。
自己都合・定年などで辞めた場合
転職のための自己都合退職や定年退職は、年齢に関係なく加入年数だけで決まります。
| 雇用保険の加入年数 | 所定給付日数 |
|---|---|
| 10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
会社都合・特定理由で辞めた場合
倒産・解雇や、雇い止め・正当な理由のある自己都合(特定理由離職者)の場合は、年齢と加入年数の組み合わせで決まり、最大330日と手厚くなります。代表的なところを抜き出すと次のとおりです。
| 年齢/加入年数 | 1〜5年 | 5〜10年 | 10〜20年 | 20年以上 |
|---|---|---|---|---|
| 30歳未満 | 90日 | 120日 | 180日 | |
| 35〜45歳 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
| 45〜60歳 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
| 60〜65歳 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
加入1年未満はどの年齢でも一律90日です。自分がどの区分かは、離職票に記載された加入期間と退職理由コードで決まります。退職理由が「会社都合」か「自己都合」かは受給額に直結するので、離職票が届いたら必ず内容を確認してください。
2025年4月の改正で「自己都合でも早くもらえる」ようになった
ここが2026年に失業保険を考えるうえでいちばん大事な変更点です。これまで自己都合で辞めると、7日の待期のあとにさらに2か月の給付制限があり、実際にお金が入るのは退職から2か月半〜3か月後でした。
これが2025年4月1日以降に離職した人から、給付制限が原則1か月に短縮されました。待期7日と合わせても、自己都合退職で受給が始まるのはおよそ1か月半後。生活費のつなぎを考える期間がぐっと短くなっています。
- 会社都合・特定理由:給付制限なし。待期7日のあとすぐ受給開始
- 自己都合(2025年4月以降の離職):給付制限は原則1か月
- 5年以内に3回以上自己都合で辞めている人:給付制限は3か月のまま
- 離職前1年以内や離職中に自分で教育訓練を受けた人:給付制限が解除され、待期7日後から受給できる
「もう一度自己都合で辞めるか迷っている」という人は、過去5年間の退職回数を数えておくと、給付制限が1か月か3か月かを事前に判断できます。
申請から振込までの流れと必要書類
失業保険は、退職しただけでは1円も入りません。ハローワークで自分で手続きをして、定期的に「失業の認定」を受けることではじめて振り込まれます。流れは次のとおりです。
- 退職後、会社から離職票(1・2)が届くのを待つ(通常2週間前後)
- 住所地のハローワークで求職の申込みをして離職票を提出、受給資格の決定を受ける
- 待期7日間を過ごす(この間は無収入が前提)
- 「雇用保険受給者初回説明会」に出席し、受給資格者証を受け取る
- 原則4週間に1回の失業認定日にハローワークへ行き、求職活動の実績を報告する
- 認定後、通常5営業日ほどで指定口座に振り込まれる
手続きに持っていくものは、離職票1・2、マイナンバーが分かるもの、本人確認書類、証明写真2枚、本人名義の通帳(またはキャッシュカード)、印鑑です。マイナンバーカードがあれば写真や本人確認書類の一部を省ける場合があります。正確な所定給付日数や認定のルールは、ハローワークインターネットサービスの基本手当の所定給付日数でも確認できます。
早く再就職すると「再就職手当」がもらえる
失業保険は「もらいきってから働く」より、早く決めたほうが得になる仕組みがあります。所定給付日数を一定以上残して再就職すると、残りの一部が一時金で受け取れる再就職手当です。
金額は「基本手当日額 × 支給残日数 × 給付率」で、給付率は残日数で変わります。
| 就職した時点の支給残日数 | 給付率 |
|---|---|
| 所定給付日数の3分の2以上を残して就職 | 70% |
| 所定給付日数の3分の1以上を残して就職 | 60% |
たとえば基本手当日額6,000円で給付日数90日の人が、60日を残して就職すれば「6,000円 × 60日 × 70% = 25万2,000円」がまとめて入ります。受け取るには、待期7日を過ぎてからの就職であること、1年を超えて働く見込みがあること、再就職先で雇用保険に入ること、過去3年以内に再就職手当を受けていないことなどの条件を満たす必要があります。「どうせなら全部もらってから」と受給を引き延ばすより、早く動いたほうが手取りが増えるケースは多いです。
退職したら、失業保険と同時にやる手続き
失業保険の申請に気を取られていると、見落としてあとで損をするのが健康保険と年金の切り替えです。退職した日からの期限が決まっているので、失業保険の手続きと並行して進めてください。
健康保険は、退職後の選び方しだいで保険料が年10万円単位で変わります。任意継続にするか国保にするかは、退職後の健康保険切り替え手続きで自分の条件に当てはめて決めるのが確実です。年金も、収入が途切れる間は国民年金の免除申請を出しておくと、月17,920円の支払いを抑えられます。
なお、病気やケガで働けずに退職した場合は、失業保険ではなく傷病手当金が先に使えることがあります。失業保険は「働ける状態」が前提なので、すぐ働けない人は受給を先送りする「受給期間の延長」を申請しておくと安心です。退職金を受け取った人は、退職金の税金もあわせて確認しておくと、確定申告での払いすぎを防げます。
よくある質問(FAQ)
Q. 失業保険は退職してからいつもらえますか?
会社都合・特定理由なら、ハローワークでの手続き後、待期7日を経て受給が始まり、最初の認定日から数日で振り込まれます。自己都合の場合は2025年4月以降の離職なら給付制限が1か月に短縮され、退職からおよそ1か月半で受給が始まります。
Q. 失業保険はいくらもらえますか?
1日あたりの基本手当日額は「退職前6か月の賃金 ÷ 180 × 給付率(50〜80%)」で計算します。上限は年齢別で、45〜59歳なら日額8,870円、下限は2,411円(2025年8月改定)。これを所定給付日数ぶん受け取ります。
Q. 自己都合でも失業保険はもらえますか?
もらえます。離職前2年間に被保険者期間が通算12か月以上あり、働く意思と能力があって求職活動をしていれば対象です。2025年4月以降は給付制限が原則1か月に短くなりました。ただし5年以内に3回以上の自己都合退職だと給付制限は3か月になります。
Q. パートやアルバイトでも失業保険はもらえますか?
雇用保険に加入していれば対象です。週20時間以上働き、31日以上の雇用見込みがある人は加入対象なので、給与明細で雇用保険料が引かれているか確認してください。引かれていれば、加入年数に応じて基本手当を受け取れます。