まとまったお金が入る夏のボーナス。その一部を新NISAで投資に回すと、同じ金額でも10年後・20年後の手取りが大きく変わります。とはいえ「いくら増えるのか想像できない」「損が怖い」という人も多いはず。この記事では、夏のボーナスを新NISAで運用したら将来いくらになるかを金額別にシミュレーションし、一括と積立の使い分け、初心者の商品選び、やってはいけないNG例まで具体的に整理しました。
この記事の要点まとめ
- ボーナス30万円を普通預金に置くと20年でほぼ増えないが、新NISAで年5%運用できれば約79万円になる計算(あくまで試算)
- 投資のやり方は「一括投資」と「ボーナス設定の積立」の2通り。年間の非課税枠(つみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円)を超えない範囲で使う
- 投資に回す前に生活費の3〜6か月分の生活防衛資金を確保し、当面いらない余裕資金だけを使うのが鉄則
- 初心者は全世界株式(オルカン)かS&P500のインデックス投信を1本。手数料の低いものを選べばじゅうぶん
ボーナスを普通預金に置いたままだと、なぜもったいない?
夏のボーナスを「とりあえず口座にそのまま」という人は多いですが、いまの普通預金の金利は年0.1%前後。30万円を1年預けても利息は数百円ほどで、物価が上がる局面ではお金の価値は実質的に目減りします。一方で新NISAを使えば、運用で増えた利益(通常は約20%課税)がまるごと非課税になります。リスクはありますが、長く持つほど値動きはならされやすく、ボーナスのように当面いらないお金は投資と相性が良いお金です。
ボーナス全体の配分をまず決めたい人は、夏のボーナスの使い道(貯める・増やす・使うの黄金比)を先に読むと、投資に回す金額の目安がつかみやすくなります。
夏のボーナスを新NISAで運用するといくら増える?シミュレーション
まず、ボーナスを1回だけ一括投資して、その後そのまま保有した場合の試算です。年率3%(控えめ)と年率5%(株式の長期平均に近い目安)の2通りで、20年後までの金額を見てみましょう。複利で計算しています。
| 投資額 | 5年後 | 10年後 | 20年後 |
|---|---|---|---|
| 10万円(年3%) | 約11.6万円 | 約13.4万円 | 約18.1万円 |
| 10万円(年5%) | 約12.8万円 | 約16.3万円 | 約26.5万円 |
| 30万円(年3%) | 約34.8万円 | 約40.3万円 | 約54.2万円 |
| 30万円(年5%) | 約38.3万円 | 約48.9万円 | 約79.6万円 |
| 50万円(年5%) | 約63.8万円 | 約81.4万円 | 約132.7万円 |
30万円を年5%で20年運用できれば、元本はそのままで約49万円ふえる計算です。さらに、毎年の夏のボーナスから30万円ずつ20年間積み立て続けた場合は、元本600万円に対して年5%なら約992万円、年3%でも約806万円に育つ試算になります。「1回きり」より「毎年コツコツ」のほうが、雪だるま式に差が広がります。
なぜ長く持つほど有利になるのか
このふえ方を支えているのが複利です。複利とは、運用で増えた利益にもさらに利益がつく仕組みのこと。最初の数年は地味でも、利益が利益を生むため、後半になるほど増え方が加速します。先ほどの表で「5年後」と「20年後」を比べると、後半の伸びが大きいのはこのためです。
目安として便利なのが「72の法則」です。72を年利で割ると、お金が約2倍になるまでの年数がわかります。年5%なら72÷5=約14.4年で2倍、年3%なら72÷3=24年で2倍です。つまりボーナス30万円も、年5%で運用できれば15年ほどで約60万円になる計算。時間を味方につけるほど、投資は力を発揮します。
※将来の利回りは保証されたものではなく、相場により元本割れもあります。あくまで一定の利回りを仮定した目安としてご覧ください。
ボーナス投資のやり方は2通り、一括と「ボーナス設定」の積立
新NISAでボーナスを投資する方法は、大きく2つあります。どちらか一方でも、組み合わせてもかまいません。
| 方法 | 使う枠 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 一括投資 | 成長投資枠(年240万円) | まとまった額をすぐ投資に回したい人 |
| ボーナス設定の積立 | つみたて投資枠(年120万円) | 毎月の積立に加えて夏・冬だけ増額したい人 |
「ボーナス設定」とは、証券会社の積立設定で特定の月だけ積立額を上乗せできる仕組みです。たとえば毎月1万円の積立に、6月だけ+10万円を設定する、といった使い方ができます。注意したいのは枠の上限で、毎月の積立額とボーナス設定額の合計が、つみたて投資枠の年120万円を超えないように設定してください。一括でまとめて入れたいときは、成長投資枠を使うとスムーズです。
どちらの方法でも、新NISAの最大のメリットは運用益が非課税になることです。通常の課税口座(特定口座など)では、増えた利益に約20%の税金がかかります。たとえばボーナス30万円が20年で約79万円になり、利益が約49万円出たとすると、課税口座なら約10万円が税金で引かれるところ、新NISAなら丸ごと手元に残ります。同じ運用でも、最終的な手取りに10万円前後の差がつくわけです。
いくらをボーナス投資に回す?手取りからの配分目安
大切なのは、ボーナスの全額を投資に回さないことです。先に守るお金を確保してから、残りで投資します。順番は次のとおりです。
- (1) 生活防衛資金を確保:生活費の3〜6か月分を預金で確保。ここが未達なら、まずは貯金を優先
- (2) 近い予定の支出を取り分け:1〜2年以内に使う予定(旅行・家電・税金など)は投資にまわさず現金で
- (3) 残った余裕資金を投資:手取りの目安として2〜3割を、新NISAでの投資にあてる
たとえば手取り35万円のボーナスなら、生活防衛資金が足りている前提で7万〜10万円ほどを投資、というイメージです。無理のない範囲から始めて、慣れてきたら金額を増やせばだいじょうぶです。
年代別・ボーナス投資の考え方
同じボーナスでも、年代によって投資に回せる割合は変わります。あくまで目安として、自分の状況に合わせて調整してください。
| 年代 | 投資に回す目安 | 考え方 |
|---|---|---|
| 20〜30代 | 手取りの3〜4割 | 運用できる期間が長く、値下がりしても回復を待ちやすい。多めに投資して複利を効かせやすい |
| 40代 | 手取りの2〜3割 | 教育費・住宅ローンと両立。生活防衛資金を厚めにしつつ、無理のない額をコツコツ |
| 50代以降 | 手取りの1〜2割 | 使う時期が近いため、増やすより守る比重を上げる。値動きの小さい配分も検討 |
何に投資する?初心者の商品の選び方
「どの商品を買えばいいか分からない」という人がいちばん迷うところですが、初心者の答えはシンプルです。全世界株式(オルカン)か、米国株式(S&P500)に連動する低コストのインデックス投資信託を1本選べば、まずはじゅうぶんです。どちらも1本で世界中(または米国の主要500社)に分散投資でき、手間がかかりません。
- 分散を最優先したい → 全世界株式(オルカン)。これ1本で世界中の株に投資
- 米国の成長に期待したい → S&P500。米国の主要企業にまとめて投資
- 選ぶときのポイント → 信託報酬(手数料)が年0.2%以下のものを目安に
個別株や高リスクの商品は、慣れてから少額で。最初の1本はインデックス投信で「ほったらかし」にできる形がおすすめです。
枠の使い分けに迷ったら、毎月コツコツ積み立てるならつみたて投資枠、ボーナスをまとめて入れるなら成長投資枠と覚えておけばだいじょうぶです。どちらの枠でもオルカンやS&P500の投信は買えるので、商品は同じものでかまいません。証券会社は、買付手数料が無料で取扱本数の多いネット証券を選ぶと、低コストの投信をそろえやすくなります。
ボーナス投資でやってはいけないNG 3つ
新NISAは長く続けるほど力を発揮しますが、入り口で次の3つをやると、せっかくのボーナスを減らしかねません。事前に知っておくだけで防げるものばかりです。
- 生活費や生活防衛資金まで投資する:急な出費が必要になったとき、値下がり中の資産を売る羽目になり損が確定しやすくなります。投資は当面いらない余裕資金だけで行い、生活費には手をつけないこと
- 値動きが気になって短期で売買する:インデックス投資は長期保有が前提です。数か月の上下に一喜一憂して売ると、後半で効いてくる複利の効果を自分から手放すことになります。買ったら基本はほったらかしでだいじょうぶ
- よく分からない商品に一点集中する:高い配当やリターンをうたう個別株・レバレッジ型・テーマ型に、ボーナスを一気に入れないこと。値動きが大きく、初心者には向きません。最初は分散の効いたインデックス投信からはじめましょう
夏のボーナス投資の始め方チェックリスト
- ボーナスの手取り額を明細で確認した
- 生活費3〜6か月分の生活防衛資金を別口座で確保した
- 1〜2年以内に使う予定のお金を取り分けた
- 投資に回す余裕資金(手取りの2〜3割が目安)を決めた
- 新NISA口座を開設した(まだの人は新NISAの始め方を参照)
- オルカンかS&P500のインデックス投信を選んだ
- 一括 or ボーナス設定で金額をセットした
あわせて、ボーナスの時期は節税を見直す好機でもあります。返礼品を受け取りながら住民税・所得税を前もって納めるふるさと納税の限度額も、年収が分かるこの時期に上限を計算しておくとムダがありません。
夏のボーナスは、年に1〜2回しかない「将来のお金を仕込めるチャンス」です。全額を使い切るのではなく、その一部を新NISAに回して受け取る前に金額を決めておくだけで、10年後・20年後の安心感が変わります。まずは1万円でも、無理のない額から始めてみてください。