加給年金とは 2026年完全ガイド|配偶者で最大42万円・条件と特別加算・振替加算・2028年改正まで

「夫婦のうち年上の人が65歳になると、もう一方が65歳になるまで年金が上乗せされる」これが加給年金(かきゅうねんきん)です。年金版の「家族手当」とも呼ばれ、配偶者なら2026年度で最大年42万円台と決して小さくない金額ですが、条件が細かくもらい忘れや届け忘れで損をしやすいのが難点です。

この記事では、加給年金を2026年(令和8年度)最新版で整理します。もらえる3つの条件・金額の早見表・特別加算のしくみ・年収850万円要件・支給停止になるケース・配偶者が65歳になった後の振替加算・2028年からの1割減額改正・申請手続きまで、はじめての方でも判断できるようにやさしく解説します。

この記事の要点まとめ

  • 加給年金は老齢厚生年金(本体)への上乗せ。受け取るには①厚生年金20年以上 ②65歳時点で生計維持する65歳未満の配偶者か子 ③配偶者の年収850万円未満の3条件が必要
  • 2026年度の配偶者の加給年金は基本額243,800円+特別加算で最大423,700円。子は1・2人目が各243,800円、3人目以降が各81,300円
  • 配偶者が65歳になると加給年金は終了し、代わりに配偶者自身の老齢基礎年金に振替加算が一生上乗せされる。ただし昭和41年4月2日以降生まれの配偶者は振替加算なし
  • 本人の老齢厚生年金が在職老齢年金で全額停止になると、加給年金も止まる。繰下げ待機中も受け取れない
  • 2028年(令和10年)4月から配偶者加給年金は約1割減額。ただし2028年3月末時点ですでに受給権がある人は経過措置で維持される

加給年金とは?「年金の家族手当」のしくみ

加給年金は、厚生年金に長く加入してきた人が65歳で老齢厚生年金を受け取り始めるとき、扶養している配偶者や子がいると上乗せされるお金です。会社員時代の「扶養手当・家族手当」が、年金になっても少しだけ続くイメージと考えると分かりやすいでしょう。

ポイントは、加給年金が「本人の老齢厚生年金」にくっつくという点です。国民年金(老齢基礎年金)だけの自営業者などには付きません。また、上乗せされる相手(配偶者)が65歳になると、そこで加給年金は終了します。配偶者が自分の年金を受け取り始める年齢だからです。終わって終わり、ではなく、今度は配偶者の年金に「振替加算」としてバトンタッチされます(後述)。

もらえる3つの条件をチェック

加給年金を受け取るには、次の3つをすべて満たす必要があります。1つでも欠けると対象外です。

条件内容
①加入期間本人の厚生年金保険の加入期間が20年(240月)以上あること。共済加入期間も合算可
②対象家族65歳到達時(年金の受給権発生時)に、生計を維持している65歳未満の配偶者、または18歳到達年度末までの子(障害1・2級は20歳未満)がいること
③配偶者の収入その配偶者・子の前年の年収が850万円未満(所得655万5千円未満)であること

「生計を維持している」とは、同居して家計をともにしているのが基本です。単身赴任などで別居していても、仕送りなどで生活を支えていれば認められます。共働きでも、配偶者の年収が850万円未満であれば条件③はクリアできます。

年上が会社員のケースが王道。典型的には「夫が会社員(厚生年金20年以上)で年上、妻が年下で専業主婦またはパート」という家庭です。夫が65歳になると、妻が65歳になるまで加給年金が夫の年金に上乗せされます。妻のほうが年上だと、妻が先に65歳を迎えるため期間は短く(またはゼロに)なります。

2026年度の加給年金はいくら?金額一覧

2026年度(令和8年度)の加給年金額は次のとおりです。配偶者は「基本額+特別加算」の合計で受け取ります。

対象2026年度の年額補足
配偶者(基本額)243,800円月額に直すと約20,300円。これに下表の特別加算が上乗せ
配偶者(基本+特別加算の最大)423,700円昭和18年4月2日以降生まれの場合(特別加算179,900円)
子 1人目・2人目243,800円18歳到達年度末まで/障害1・2級は20歳未満
子 3人目以降81,300円人数分が加算される

たとえば、昭和18年4月2日以降生まれの夫が、年下の妻を扶養している場合、妻が65歳になるまで年423,700円(月約3万5千円)が上乗せされます。妻との年齢差が5歳あれば、単純計算で5年間で約212万円。受け取り損ねると大きな差になります。

特別加算で増える仕組み(生年月日別早見表)

配偶者の加給年金には、受給者本人の生年月日が新しいほど特別加算が大きくなるしくみがあります。若い世代ほど手厚くなる設計です。

受給者本人の生年月日特別加算額基本額との合計
昭和9年4月2日〜昭和15年4月1日36,000円279,800円
昭和15年4月2日〜昭和16年4月1日71,900円315,700円
昭和16年4月2日〜昭和17年4月1日108,000円351,800円
昭和17年4月2日〜昭和18年4月1日143,900円387,700円
昭和18年4月2日以降179,900円423,700円

いま65歳前後で年金を受け取り始める多くの方は「昭和18年4月2日以降」に該当するため、実際は合計423,700円になるケースがほとんどです。なお特別加算が付くのは配偶者分のみで、子の加給年金には特別加算はありません。

年収850万円要件の判定方法

条件③の「配偶者の年収850万円未満」は、つまずきやすいポイントです。判定のルールは次のとおりです。

  • 判定の基準は前年(または前々年)の年収。年収850万円未満、または所得655万5千円未満であればOK
  • 一時的に850万円を超えても、おおむね5年以内に850万円未満に下がる見込み(定年退職が近いなど)があれば、要件を満たすと認められることがある
  • パート・アルバイトの配偶者なら、まず問題なくクリアできる水準

「共働きだからもらえない」と思い込んでいる人がいますが、850万円未満ならもらえます。年収850万円は会社員でもかなり高い水準なので、多くの家庭は条件③をクリアできます。あきらめずに確認しましょう。

支給停止になるケースに注意

条件を満たしていても、次のような場合は加給年金が止まります。

支給停止になるケース理由
配偶者自身が厚生年金20年以上の老齢・退職年金を受け取っている配偶者も「長く働いた人」なので扶養とみなされない
配偶者が障害年金を受給している同上の考え方で対象外
本人の老齢厚生年金が在職老齢年金で全額支給停止本体が止まると上乗せの加給年金も止まる(一部でも出れば加給年金は全額もらえる)
年金を繰下げ待機している老齢厚生年金を受け取っていない間は加給年金も出ない

繰下げと加給年金は相性が悪い。老齢厚生年金を繰り下げて待っている間は、加給年金(最大で年42万円台)を1円も受け取れません。しかも繰下げで増えるのは年金本体だけで、加給年金は増えません。配偶者が年下で加給年金を長くもらえる人は、厚生年金は繰り下げず、基礎年金だけ繰り下げるといった工夫が有効です。働きながら受け取る人は在職老齢年金の停止にも要注意です。

配偶者が65歳になったら「振替加算」にバトンタッチ

加給年金は配偶者が65歳になると終了します。配偶者が自分の老齢基礎年金を受け取り始めるからです。このとき、配偶者自身の老齢基礎年金に「振替加算」が一生上乗せされます。加給年金が「相手の年金」に形を変えて続くイメージです。

項目加給年金振替加算
誰の年金に付く本人(年上)の老齢厚生年金配偶者(年下)の老齢基礎年金
いつまで配偶者が65歳になるまで配偶者が亡くなるまで一生
金額最大423,700円(2026年度)配偶者の生年月日で逓減(年齢が若いほど少ない)
注意点条件を満たせば自動ではなく届出が必要な場合も昭和41年4月2日以降生まれは対象外(ゼロ)

最大の注意点が「昭和41年4月2日以降生まれの配偶者には振替加算がない」ことです。この世代は自分で国民年金にしっかり加入してきた前提のため、振替加算は設けられていません。つまり、加給年金は受け取れても、その後の振替加算は付かない夫婦が今後どんどん増えていきます。

【2028年改正】配偶者加給年金が約1割減額に

2025年(令和7年)の年金制度改正で、配偶者の加給年金が見直され、2028年(令和10年)4月から約1割減額されることが決まりました。

  • 減額の対象は配偶者の加給年金(基本額+特別加算)。子の加給年金や振替加算は対象外で変わらない
  • 令和6年度価格の例でいうと、年408,100円→約367,200円へと約1割引き下げられる
  • 経過措置あり:2028年3月31日時点ですでに配偶者加給年金が付いた老齢厚生年金の受給権を持っている人は、減額されず従来額のまま維持される

「2028年3月までに受給権」がカギ。これから65歳を迎える方で配偶者加給年金の対象になりそうな人は、2028年3月末までに受給権が発生していれば現行の手厚い金額が続きます。年齢差が大きい夫婦ほど影響が大きいので、ご自身がどちらに該当するか、ねんきんネットや年金事務所で早めに確認しておくと安心です。

申請手続きと必要書類

加給年金は、多くの場合老齢厚生年金を請求するときに一緒に手続きします。年金請求書に配偶者・子の情報を書いて、生計維持を証明する書類を添えれば、条件を満たしていれば自動的に上乗せされます。

  • 主な添付書類:戸籍謄本(続柄の確認)/世帯全員の住民票(生計同一の確認)/配偶者の所得を確認できる書類(課税証明書など)
  • 後から対象になった場合(例:65歳より後に結婚した)は、「老齢厚生年金 加給年金額加算開始事由該当届」を年金事務所へ提出する
  • マイナンバーを年金記録に登録していれば、住民票や所得証明の添付を省略できる場合がある

「条件は満たしていたのに届け出ていなかった」というもらい忘れが意外と多い項目です。心当たりがあれば、過去分をさかのぼって請求できる場合もあるので、年金事務所に相談してみましょう。

もらい忘れ・損するケースTOP5

ありがちな失敗対策
①共働きだからと最初からあきらめる配偶者の年収が850万円未満ならもらえる。まず確認
②厚生年金を繰り下げて加給年金を取り逃す加給年金は繰下げで増えない。厚生年金は繰り下げず基礎年金だけ繰下げも検討
③加算開始の届け出を忘れる65歳後に結婚など該当したら「加算開始事由該当届」を提出
④妻のほうが年上で期間が短いと知らない上乗せは年下の配偶者が65歳になるまで。夫婦の年齢差を確認
⑤振替加算があると思い込む昭和41年4月2日以降生まれの配偶者は振替加算ゼロ。家計試算に入れない

加給年金は、条件さえ合えば配偶者が65歳になるまで毎年40万円前後が上乗せされる、見逃せない制度です。一方で、繰下げとの相性・在職老齢年金での停止・2028年の減額・振替加算の世代制限など、知らないと損する落とし穴も多くあります。本体である老齢厚生年金の平均額や、働きながら受け取る人の在職老齢年金と合わせて、夫婦トータルの受け取り方を一度ねんきんネットで試算しておきましょう。

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