老齢厚生年金の平均額 2026年完全ガイド|男女別・年収別早見表・増やす5つの方法

「自分は老齢厚生年金をいくら受け取れるのか」「平均額に対して自分はどの位置にいるのか」と気になっていませんか。2026年4月(令和8年4月)から年金額は改定率+2.0%(報酬比例部分)で引き上げられ、夫婦2人のモデル年金額は月237,279円になりました。本記事では、最新の平均額データ、年収別早見表、計算式の使い方、2026年改正のポイント、加給年金・繰下げ受給など増やす方法まで、具体的な金額と要件で網羅的に解説します。

老齢厚生年金とは?基礎年金との違いをまず整理

日本の公的年金は「2階建て」構造で、1階が老齢基礎年金(国民年金)、2階が老齢厚生年金です。基礎年金は20歳~60歳の40年間(480ヶ月)保険料を納めた場合に2026年度月額70,608円の満額が支給され、自営業者・会社員・公務員すべて共通の土台になります。一方、老齢厚生年金は会社員・公務員が現役時代に給与から天引きされていた保険料に応じて報酬比例部分が上乗せされる仕組みで、加入期間と平均標準報酬額(給与水準)によって金額が大きく変わります。

つまり、会社員の総受給額=老齢基礎年金(みんな共通)+老齢厚生年金(個人差大)。本記事で扱う「老齢厚生年金の平均額」は通常、報酬比例部分のみを指す場合と、基礎年金を含めた合算額を指す場合の両方があるため、データを見るときは必ず注釈を確認してください。

2026年度の平均額:男女別・基礎年金込みの実態

厚生労働省の「令和6年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、老齢厚生年金(基礎年金を除く報酬比例部分)の平均月額は79,220円です。基礎年金を含めた合計では男女差が大きく、女性は出産・育児による就労中断や賃金格差で厚生年金期間が短くなる傾向があります。

男女別・年金種別 平均月額(基礎年金込み)

区分男性平均女性平均夫婦合算
老齢厚生年金(基礎含む)約16万5,000円約10万3,000円約26万8,000円
うち報酬比例部分のみ約9万7,000円約5万円約14万7,000円
老齢基礎年金のみ(自営業者等)約5万9,000円約5万4,000円約11万3,000円
2026年度モデル年金夫婦2人で月237,279円(平均標準報酬45.5万円×40年想定)

注意点として、これは「現在受給中の方の平均」であり、若い世代ほど加入期間が長くなる一方で給与水準や物価スライドの影響を受けるため、ご自身の将来受給額は「ねんきん定期便」または「ねんきんネット」で個別に確認するのが最も正確です。

老齢厚生年金の計算式:5.481/1000ルールを理解

老齢厚生年金(報酬比例部分)の計算式は、2003年4月の総報酬制導入を境に前後で異なります。2003年4月以降の加入期間については次の計算式を使います。

報酬比例部分(年額)=平均標準報酬額×5.481/1000×加入期間の月数

例えば平均標準報酬額(賞与含む月額換算)が40万円で40年(480ヶ月)加入した場合、40万円×5.481/1000×480ヶ月=年額約105.2万円(月額約8.8万円)になります。基礎年金(満額月70,608円)と合算すると月額約15.9万円です。

2003年3月以前の加入期間は計算式が異なり、平均標準報酬月額×7.125/1000×加入期間の月数で算出します(ただし当時の標準報酬月額には賞与が含まれないため数値は大きめに見えます)。実際の年金額は両方の期間を合算して計算するため、長く働いている方ほど両方の計算が必要です。基礎年金部分の詳細については老齢基礎年金 満額の最新ガイドを併せてご確認ください。

年収別 受給額早見表(40年加入・基礎年金込み)

「自分は将来いくらもらえるのか」を素早く把握するには、生涯の平均年収(22~62歳の40年平均)で早見表を見るのが便利です。次の表は40年加入・経過的加算と加給年金は0円とした標準ケースです。

生涯平均年収別 年金受給額 早見表

生涯平均年収年額(基礎+厚生)月額(参考)厚生年金部分のみ月額
300万円約152万円約12.7万円約5.7万円
400万円約173万円約14.4万円約7.4万円
500万円約191万円約15.9万円約8.9万円
600万円約215万円約17.9万円約10.9万円
700万円約238万円約19.8万円約12.8万円
1,000万円約302万円約25.2万円約18.2万円

厚生年金には標準報酬月額の上限(月65万円・年収換算で約750万円相当)があるため、年収750万円以上の方は750万円換算で計算する必要があります。つまり、いくら高給でも年金額に直接反映されるのは年収750万円分までという「天井」がある点に注意しましょう。また、加入期間が40年に満たない場合は、上記金額を「実際の加入月数÷480ヶ月」で按分してください。

2026年4月改定:5つの主要ポイント

2026年4月(令和8年4月)からの年金改定では、受給額アップと制度改正の両面で重要な変化があります。

(1) 年金額改定率:国民年金(基礎年金)は前年度比+1.9%、厚生年金(報酬比例部分)は+2.0%引き上げ。これは4年連続の増額改定で、物価・賃金上昇を反映した「マクロ経済スライド」調整後の数値です。

(2) 老齢基礎年金満額:月額70,608円(前年度69,308円)に引き上げ。昭和31年4月1日以前生まれの方は月70,408円。

(3) 在職老齢年金の基準額大幅引き上げ:支給停止調整額が月50万円→月65万円に引き上げ。これにより働きながら年金を受け取る高齢者の減額対象が大幅に縮小しました。

(4) 加給年金の改定:配偶者加給年金の基本額239,300円+特別加算最大168,800円=最大年408,100円。厚生年金20年以上加入者が65歳到達時点で配偶者がいる場合に加算されます。

(5) 年金生活者支援給付金の増額:基準額+3.2%増で老齢年金生活者支援給付金は月5,620円に改定。低年金者向けの上乗せ給付で、年金収入と所得の合計が一定額以下の方が対象です。

加給年金と振替加算:年最大40.8万円の上乗せ

意外と知られていないのが「加給年金」と「振替加算」。要件を満たすのに請求していない方が多いため、必ず確認してください。

加給年金とは:厚生年金加入期間20年以上の方が65歳到達時点で、生計を維持している65歳未満の配偶者または18歳到達年度末までの子(障害者は20歳未満)がいる場合に加算される「家族手当」のような制度です。2026年度の配偶者加給年金は基本額239,300円+特別加算最大168,800円=最大年408,100円(月約34,000円)。子の加算は1人目・2人目が各239,300円、3人目以降は各79,800円です。

配偶者の要件:(1)前年の年収850万円未満、(2)配偶者自身が厚生年金20年以上の老齢厚生年金を受給していない、(3)障害基礎年金などを受給していない、の3つすべてを満たす必要があります。配偶者が65歳に到達すると加給年金は打ち切られます。

振替加算とは:配偶者が65歳に到達して加給年金が停止した後、配偶者自身の老齢基礎年金に終身で加算される制度。ただし対象は大正15年4月2日~昭和41年4月1日生まれに限定されており、昭和41年4月2日以降生まれの方には振替加算は支給されません。金額は配偶者の生年月日により異なり、年額数万円~最大15万円程度。両方とも自動加算ではなく届出が必要なので、年金事務所で必ず確認しましょう。

老齢厚生年金を増やす5つの具体策

受給額を増やしたい方は、次の5つの方法を組み合わせることで大きな差をつけられます。

老齢厚生年金を増やす方法 比較表

方法増加効果(年収400万・40年加入を基準)手続き難易度
長く働く(70歳まで延長)月額+約8,000円~10,000円厚生年金加入の継続
繰下げ受給(最大75歳まで)月額+最大84%(5年=42%、10年=84%)受給開始時の届出
パート→社会保険適用拡大月額+約3,000円~5,000円/5年週20時間以上勤務へ
加給年金・振替加算の請求年額最大40.8万円(月約34,000円)年金事務所で届出
iDeCo・企業型DC加入月額+1万~3万円(私的年金)金融機関で口座開設

最も効果的かつ簡単なのは繰下げ受給。1ヶ月遅らせるごとに0.7%増額され、5年(60ヶ月)遅らせれば42%、10年(120ヶ月)で84%増になります。例えば月額15万円の方が75歳まで繰下げると月額27.6万円に。ただし損益分岐点があるため、健康状態と相談して判断しましょう。詳しい損益分岐の計算は年金 繰下げ受給の損益分岐ガイドで年齢別に解説しています。

また、公的年金に上乗せするiDeCo(個人型確定拠出年金)は掛金全額が小規模企業共済等掛金控除となり、運用益も非課税。受け取り方法(一時金・年金)で税負担が変わるため、iDeCoの受け取り方比較も併せてご確認ください。

在職老齢年金:2026年4月の65万円基準で「働き損」が解消

これまで「年金をもらいながら働くと減らされる」のが在職老齢年金制度のネックでした。2026年4月から支給停止調整額が月50万円→月65万円に大幅引き上げされ、シニア就労のメリットが格段に向上しました。

支給停止額の計算式:(総報酬月額相当額+基本月額-65万円)÷2=支給停止額

例えば月給45万円+老齢厚生年金月12万円=合計月57万円なら、65万円以下のため年金は全額支給されます。仮に月給60万円+年金12万円=合計72万円の場合、(72-65)÷2=3.5万円が支給停止となり、年金は12万円-3.5万円=月8.5万円受給。それでも従来の50万円基準と比べると停止額が大幅に減少しています。

つまり、2026年以降は年収600万円程度の継続勤務でも年金がほぼ全額もらえる時代に。「働きながら年金」の選択肢が現実的になり、生涯収入の最大化を狙う方には大きな追い風です。なお、この基準額は老齢厚生年金の報酬比例部分のみが対象で、老齢基礎年金は減額対象外です。

受給開始時期の選択:60歳繰上げ vs 65歳基準 vs 75歳繰下げ

老齢厚生年金は原則65歳から支給ですが、60歳~75歳の範囲で開始時期を選べます。選択による月額の変化は次のとおりです。

繰上げ受給(60~64歳):1ヶ月早めるごとに0.4%減額(最大24%減・60歳開始)。一度決めると一生減額が続き、変更不可。健康に不安があるか、すぐに現金が必要な場合に検討。

標準受給(65歳):減額・増額なしの基準額。

繰下げ受給(66~75歳):1ヶ月遅らせるごとに0.7%増額(最大84%増・75歳開始)。長寿リスクへの備えとして注目される選択肢で、77歳11ヶ月以降生きれば65歳開始より総受給額が上回ります(5年繰下げの場合)。

男性の平均寿命81.05歳・女性の平均寿命87.09歳(2024年簡易生命表)を考慮すると、健康な方は繰下げ受給が経済的に有利になるケースが多いです。ただし加給年金や振替加算は繰下げ期間中は支給されない点に注意。詳しい損益分岐点と年代別判断基準は年金 繰下げ受給の損益分岐ガイドで網羅しています。

よくある勘違いTOP5:請求漏れと過大期待を防ぐ

年金相談で頻出する勘違いを5つに絞ってまとめました。事前に把握しておけば、損失や勘違いを防げます。

(1) 「平均額もらえる」と過大期待:男女別・年収別で大きく異なるため、必ず「ねんきんネット」で個別試算を。特に女性や非正規雇用期間が長い方は平均より低くなる可能性大。
(2) 加給年金の請求漏れ:自動加算ではなく届出制。「老齢厚生年金・退職共済年金加給年金額加算開始事由該当届」の提出が必要。請求漏れは5年以内なら遡及請求できます。
(3) 在職老齢年金で「全額もらえない」と勘違い:2026年4月から65万円基準。月給45万円程度なら年金は通常全額支給されます。
(4) 繰下げ中の加給年金を見落とし:繰下げ受給期間中は加給年金(年最大40.8万円)も停止。本体の増額メリットと加給年金喪失を比較して総額で判断する必要があります。
(5) 国民年金期間と厚生年金期間の合算誤解:両方の合算で年金を計算するが、報酬比例部分は厚生年金期間のみ。自営業+会社員のハイブリッドキャリアの方は両方の月数を必ず確認。

まとめ:今すぐ確認すべき3つのアクション

2026年4月改定で老齢厚生年金は+2.0%増額、在職老齢年金基準は月65万円に大幅引き上げ、夫婦モデル年金は月237,279円になりました。受給額を正確に把握し最大化するため、今すぐ取り組める3つのアクションは次のとおりです。

  1. 「ねんきんネット」で個別試算:ねんきん定期便のアクセスキーまたはマイナンバーカードで登録すれば、加入期間・年収・受給開始年齢別の試算が可能
  2. 加給年金・振替加算の対象確認:厚生年金20年以上+配偶者の年収850万円未満などの要件をチェック。該当しそうなら年金事務所に届出書類を確認
  3. 受給開始時期のシミュレーション:健康状態・家計・配偶者の年齢を踏まえ、60歳繰上げ/65歳標準/繰下げの3パターンで生涯総額を試算

老齢厚生年金は「平均額に振り回されず、自分の数字で判断する」のが鉄則です。早期に正確な受給額を把握し、増やす施策を組み合わせれば、ゆとりある老後設計が現実的になります。

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