「医療保険はいらない」と言い切れる人の条件5つ|本当に必要な人も書く

医療保険の更新通知が届いて、ふと計算してみました。月3,800円×12ヶ月=年45,600円。10年で456,000円。この金額を見て「元が取れるのか?」と思ったのが、この記事を書くきっかけです。

結論から言うと、医療保険がいらない人は確かにいます。でも「全員いらない」は嘘です。自分がどっち側なのか、この記事で判断してください。

この記事の要点

  • 高額療養費制度+傷病手当金で、会社員の医療費負担は想像より軽い
  • ただし差額ベッド代・先進医療・自営業者は制度の対象外
  • 貯金が「使途自由で」200万円以上あるかどうかが判断ラインのひとつ
  • 2026年8月から高額療養費の上限が引き上げられる見直しのタイミングは今

医療保険がいらないと言われる3つの理由

「医療保険なんて無駄」と言う人には、ちゃんとした根拠があります。順番に見ていきます。

理由1:高額療養費制度が強すぎる

日本の公的医療保険には「高額療養費制度」があります。ひと月の医療費が一定額を超えたら、超えた分が戻ってくる仕組みです(厚生労働省の高額療養費制度ページ)。

たとえば年収400万円の会社員なら、どれだけ高額な手術を受けても、ひと月の自己負担は約80,100円が上限。100万円の手術でも、窓口での最終負担は約87,430円で済みます。

知っておこう 事前に「限度額適用認定証」を取得しておけば、窓口での支払いが最初から上限額までに抑えられます。立替払いの必要がなくなるので、入院が決まったら健康保険組合に連絡してください。

理由2:会社員には傷病手当金がある

会社員や公務員が病気で働けなくなったとき、健康保険から「傷病手当金」が支給されます(全国健康保険協会の傷病手当金ページ)。金額は標準報酬月額の3分の2。月給26万円なら1日あたり5,780円、月に約17万円受け取れます。

支給期間は最長1年6ヶ月。この間、給料が出なくても生活費の約67%がカバーされます。

理由3:入院日数が短くなっている

厚生労働省の統計によると、平均入院日数は年々短くなっています。一般病床の平均は約16日。生命保険文化センターの調査では、入院1回あたりの自己負担額の平均は18.7万円で、20万円未満が約7割という結果です。

「長期入院で家計が破綻する」というイメージは、実態とずれてきています。

医療保険なしで大丈夫な人の条件5つ

ここからが本題です。以下の5つ全部に当てはまるなら、医療保険は本当にいらないかもしれません。

医療保険が不要な人のチェックリスト

  • 会社員または公務員で、健康保険に加入している(傷病手当金が出る)
  • 使い道が決まっていない貯金が200万円以上ある
  • 勤務先の福利厚生に追加の医療補助がある(付加給付など)
  • 先進医療を受ける可能性が低い(がん家系でないなど)
  • 扶養家族がいない、または家族の収入源が複数ある

ポイントは「貯金200万円」の部分です。ここ、よく誤解されるんですが、総貯金額じゃないんです。

たとえば貯金が300万円あっても、そのうち150万円は子どもの教育費、50万円は車検と旅行の積立、だとすると使途自由なお金は100万円しかない。私も計算してみたら、手をつけられるお金は思ったより少なくてびっくりしました。

200万円というのは「教育費にも老後資金にも充てない、純粋に緊急用として置いておけるお金」の話です。

それでも医療保険に入った方がいい人の特徴4つ

逆に、こういう人は医療保険があった方が安心です。

自営業・フリーランスの人

これが最大の分かれ目。自営業者には傷病手当金がありません。病気で2ヶ月働けなければ、収入ゼロが2ヶ月続きます。国民健康保険には傷病手当金の制度自体がないんです。

会社員なら月給の67%が保障されるのに、自営業だとゼロ。この差はかなり大きい。

貯金が100万円以下の人

入院1回の自己負担が平均18.7万円。これに差額ベッド代(個室なら1日8,000円〜)や食事代、家族の交通費を足すと、短期入院でも30万円近くかかることがあります。

貯金100万円以下だと、この出費はかなり痛い。医療保険の月3,000円〜4,000円は、リスクヘッジとして合理的です。

先進医療を使う可能性がある人

先進医療は高額療養費制度の対象外です。全額自己負担になります。

がん治療で使われる陽子線治療は平均約264万円、重粒子線治療は約318万円。これが全部自費。がんの家族歴がある人は、先進医療特約つきの医療保険を検討する価値があります。特約だけなら月100〜500円程度で追加できます。

小さい子どもがいる世帯の大黒柱

妻が3日間入院したとき、自己負担は制度を使って約8万円で済みました。でもそれとは別に、子どもの面倒を見るためにベビーシッターを頼んだり、外食が増えたり、見えないコストが重なりました。

家計の中心が1人の場合、入院中の「医療費以外の出費」がばかにならない。医療保険の入院給付金があれば、その穴埋めに使えます。

2026年8月の高額療養費改定で何が変わる?

実はこのタイミングで記事を書いているのには理由があります。2026年8月から高額療養費制度の自己負担上限が引き上げられるんです。

年収区分現行の月額上限2026年8月〜の引き上げ額
約1,160万円以上252,600円+α+17,700円
約770万〜1,160万円167,400円+α+11,700円
約370万〜770万円80,100円+α+5,700円
〜約370万円57,600円+3,900円
住民税非課税35,400円+1,500円

年収370万〜770万円の層だと、月の上限が約85,800円に。年間で考えると、入退院を繰り返すケースでは数万円単位で負担が増えます。

注意 2027年8月にはさらに引き上げの第2段階が予定されています。年収650万〜770万円の層では月額上限が約11万円になる見込みで、現行より3万円近く増える可能性があります。

「高額療養費があるから医療保険はいらない」という判断は、今後少し変わるかもしれません。特に持病がある人や入退院の可能性が高い人は、この改定を踏まえて再検討した方がいいと思います。

医療保険を見直すなら今やること3つ

ここまで読んで「自分はどうしよう」と思った人へ。やるべきことを3つだけ挙げます。

1. 自分の「使途自由な貯金」を正確に計算する

通帳の残高ではなく、「教育費・老後資金・車検・旅行を全部引いた後の金額」を出してください。これが200万円を超えるかどうかが、ひとつの判断材料になります。

2. 勤務先の健康保険組合の付加給付を確認する

大企業の健保組合だと、高額療養費に加えて独自の「付加給付」があるケースも。月の自己負担が2万円や2.5万円で済む会社もあります。これがあるなら医療保険の優先度はかなり下がります。総務か人事に聞いてみてください。

3. 今の医療保険の「先進医療特約」だけ残す選択肢を検討する

もし「基本の入院保障はいらないけど、がんの先進医療だけ不安」という人は、先進医療特約だけの保険に切り替える手もあります。月500円以下で2,000万円までカバーする商品もあるので、40代の生命保険見直しガイドも参考にしてみてください。

貯金200万円のうち、使い道が自由なお金がいくらあるか結局これに尽きると思います。私の場合は計算してみたら余裕資金が50万円しかなくて、「やっぱりもう少し保険は残しておこう」という結論になりました。正解は人それぞれ。焦らず、自分の数字で判断してください。

よくある質問

Q. 医療保険の保険料は月いくらが相場?

30代で月約2,674円、40代で約3,668円、50代で約4,692円が平均です。掛け捨ての医療保険なら月2,000円台から加入できます。

Q. 高額療養費制度があれば民間の医療保険はいらない?

会社員で貯金に余裕があるなら、高額療養費+傷病手当金でかなりカバーされます。ただし差額ベッド代、先進医療費、食事代は対象外。この部分に不安があるなら、最低限の保障は持っておくのが現実的です。詳しい申請方法は高額療養費の申請手順の記事にまとめています。

Q. 自営業でも医療保険は必要?

強くおすすめします。国民健康保険には傷病手当金がないため、入院中の収入がゼロになります。最低でも入院日額5,000円の保障があると、生活費の足しになります。国民健康保険料を安くする方法もあわせてチェックしてみてください。

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